開発プロセスの、事業企画 (Plan) の位置付け

開発プロセスの、事業企画 (Plan) の位置付け

前提

Codebot は、開発代行サービスです。
特徴としては、人ではなく、タスクを販売している点です。

開発サービスなので、儲かりそうなビジネスを一緒に考えてやってほしいと言われると難しいです。アイデアを出して企画立案ができるわけではありません。事業戦略のコンサルティングサービスを提供しているわけではありませんし、一般的なコンサルティングファームのように、事業分析/予算策定/事業計画作成/市場調査レポート作成や、ステークホルダー/サプライチェーン/見込み顧客/競合他社/金融機関や投資家へのヒアリング などを行うわけではありません。

ただし、技術観点として、そもそも実現可能なのか、実現するためにはどのくらいの工数がかかるのか、技術的にどのように進めていくべきか、どんな機能が必要かなどについてはアドバイスをすることができます。また、技術者面接の同席や、内製化の手伝いをすることもあります。開発を進めていくなかで必要になる企画上の (経営的な) 意思決定に踏み込むこともあります。これらを、技術コンサル (アドバイザー) と位置づけるのであれば、コンサルティングサービスを提供しています。

Codebot は代行サービスです。外部業者として契約責任を全うしますが、経営責任を負うことはできません。多くの組織には CTO、VPoE、Lead Engineer などの技術責任者相当のポジションがあります。経営における事業結果に責任を持ちつつ、技術選定をし、技術的負債をコントロールし、ソフトウェアの設計をしつつコードを書き、エンジニアリング組織の構築 (採用計画/面接手順/評価制度など) を行うなど、多岐にわたる仕事を、事業に合わせて、責任を持って行う人たちです。

状況によって、経営アドバイスのようなことを行うこともありますが、あくまでも開発代行業者という位置付けで考えてもらうのが誤解がないと思います。

教えてほしいこと (基本事項)

開発には複数の人間が関わります。
全員が、100ページあるパワーポイントを読んで理解するのは難しいです。
開発する人向けに、過不足なく、何を作るのか伝えていただけると助かります。
また、開発する人向けなので、どのくらい儲かるのか、市場規模はどのくらいなのかは最小限で大丈夫です。

  • 名前 : 日本語 / 英語表記
  • 概要 : oo 向けの xx (30文字)
  • 説明 : どんなプロダクトですか? (200文字)
  • 背景 : なぜプロダクトを作ろうと思ったのですか? (200文字)
  • 代替 : 代替手段、事例 (箇条書き)

商品、システム、プロジェクトの名前を、日本語と英語(半角英数字)で聞いています。
開発のコミュニケーションとして、発音するのはもちろん、ファイル名などに利用します。
決まっていない場合も、コードネームは決めてもらっています。

例えば、「地域限定のお年寄りと若者向けの買物代行サービス」を考えます。
上記が、概要になります。

説明は、どんなサービスですか? と友人に聞かれた時に答える文章です。
お年寄りが期限を決めて、買ってきてほしいもののリストを投稿すると、そのタスクが登録されます。周辺にいる若者に通知が届き、最高価格から値段を下げて入札します (1,500円からスタートして、900円など入札できる)。入札が完了すると、前金が支払われてそのタスクを行います。買い物してタスクが完了すると、全額が支払われます。

背景は、なぜ作りたいのか? なぜその商売を始めたいのか? を聞いています。
コロナウイルスの影響で、お年寄りの外出が制限されるようになってしまった。地震、台風、感染症など非常時に移動が制限される人向けに、地域社会の中で助け合いができるようにしたい。お年寄りが直接お金を払うのではなく、行政予算を最小限利用しつつ、生活インフラとして機能するようにする。
などが、一例でしょう。

代替手段もいくつか考えられると思います。
買い物代行であれば、同居している家族が購入できるでしょうし、Amazon などの定期販売で消費材は購入できるでしょう。宅配をやっている、ヤマトなどが参入できそうですし、地方であれば地域コミュニティがその役割を行なっていることもあります。Uber Eats や、アメリカでは Instacart などもあります。
これらを、箇条書きでいいので、列挙してもらっています。

  • 同居人、家族
  • Amazon
  • ヤマト
  • 地域コミュニティ
  • Uber Eats, Instacart

よく質問すること

  1. 誰に、どんな提案をするのか
  2. チームは、どんなタスクをやるのか
  3. うまくいった場合、1年後どうなっているのか

サービス開始時点で、誰にどんな提案をするのかはよく質問します。「地域限定のお年寄りと若者向けの買物代行サービス」であれば、サービス開始時点でお年寄りと若者の両方が0人です。それだと、仕事がないので両方とも利用できません。この例で言えば、お年寄りか若者、もしくは行政の人に、どのような提案資料を持って行き、どのように話して、サービス開始時に利用してもらうのかを聞いています。

また、サービス開始の準備段階で、チームとしてなにかしらの仕事をするかと思います。どんな TODO リストになり、なにをいつまでにやるのか、リリース後にどんなタスクをやる必要があるのかを質問します。

サービスを開始して、とてもうまくいった場合、1年後どんな風になっているのかもよく質問します。ユーザーは何人ぐらいいて、1日のどのくらい利用されて、どのくらい売上があるのか。チームには何人ぐらいいて、それぞれがどんな仕事をしているのか。などです。

端的には、どのくらいリアリティを持って、やっているのかを聞いています。
企画段階は、色々な仮説があり、ほとんどが想像です。そんななかで、実際にシステムか稼働した時に、どんな風になるのかを教えていただけると、開発上とてもやりやすくなりますので、ご協力いただけると助かります。

必要性の検証

  1. 顧客 (= 課題)
  2. 製品 (= 価値)
  3. 流通 (= 伝えるコスト)
  4. 利益 (= 収支)
  5. 独占 (= 参入コスト)

もう少し踏み込んで質問するケースは、そのシステムの必要性と継続性について聞くことがあります。顧客と製品というのは、どんな課題をどんな風に解決するかなので、基本事項と同じような内容になると思います。利益は文字通り、商品を提供するのにどのくらいの費用がかかり、どのくらい売上があるのかを引き算した数字です。

流通コスト

流通については、1人の顧客が商品を使い始める時に、使い始めるまでにどのくらいのコストがかかるかという質問です。1人の顧客がいくらお金を払うかということではなく、1人の顧客がその商品が世の中にあることを知って、興味を持ち、手にとって利用し始め、使い方を覚えるまでのコストです。

少し考えると納得いくと思うのですが、例えば、何か新しいiPhoneアプリを利用するとき、何かのきっかけでそのアプリの存在を知って (例えば、友人からオススメされる)、興味を持ち、App Store からダウンロードして、登録してアプリを使い始め、最初使い方がよくわからないが、色々触っているうちに段々と使い方がわかってきて、継続的に利用するようになるはずです。そもそも存在を知らないアプリは大量にありますし、難しいアプリはすぐに削除するはずです。

これが伝えるコストです。少し専門的に言えば、Funnel (ファネル) 設計を元にした次の段階へステップさせるための費用です。認知から定着までの段階を決めて、ユーザーごとにどの段階にいるのかを可視化します。理想的な商品は、Google の15文字の検索結果でどんな商品かわかるもの、Twitter の140文字の1ツイートで商品の素晴らしさが伝わるもの、YouTube の5秒の広告で商品に興味を持ってもらえるものです。通常そんな商品はなかなかなく、新規性がある商品の方が伝えるコストが高い傾向があります。つまり、まだ世の中にない新しい商品 (通常そのような商品は複雑でもある) は伝えるコストが高いのです。また、ニッチなユーザー層へは、アクセスする経路がないことが多いので、そもそも商品を知ってもらう方法がないということもあります。その場合は、関係ないユーザー層にも知ってもらうための活動をする必要があるので、とてもコストが高くなります。

参入コスト

開発後にリリースして、サービスを運営する中で、日々タスクを行います。そんななかで、同じようなサービスを始める競合が現れることもありますし、大手企業が参入してくることもあります。

理想としては、企画段階で日々タスクをやっていけば、自然と参入障壁を気づける仕組みを設計しておくことです。地道に1,2年間、サービスを運用すると結果的に大手企業が物量で押し寄せてきたとしても、ひっくり返せないことが理想です。通常、資本量と人員数で多くのことは模倣可能ですが、そんななかで模倣不可な要素、もしくは不可視領域が設計できないか聞くことがあります。

(参考) フレームワーク・デック

以下は、いわゆる投資家 (VCなど) へのプレゼンのフォーマットになります。どんな風に話すのかは、LaunchPad IVS の動画を参考にするといいと思います。1社あたり4,5分でプレゼンをしている動画が大量に上がっています。東京で資金調達をする場合は、ここら辺の話し方が暗黙の作法になっているので、そのまま真似するのがいいと思います (聞き手に合わさせてあげて説明するのがコミュニケーションの基本という意味でも)。

  • ビジネスモデルキャンバス
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運営者
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