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建築業者向け、寸法から資材が探せるアプリ
岡崎
インタビュー

繰り返しで構築されているリズムを掴むことで全体を把握できる。

2016年10月
参加者インタビュー
岡崎さん

9割の小さな事業所が支える業界

ーーー 簡単に経歴の紹介をお願いします

元々日本国内で建築材料の提案営業などをしていました。そこから中国の内装工事会社に行って、帰ってきてからは海外事業のこともやりつつ、Web事業をしたり新規事業開発をしたりしています。いわゆる、建築資材の商社だと考えてもらえれば分かりやすいかな、と思います。

建築業界ってどうしてもアナログチックな業界で、全体としてデジタルの領域が遅れているんですよね。私自信も現場で働いていたこともあったので、そういった経験を活かして建築現場の方々をサポートするITツール・サービスを考えていきたいというプランがあります。デジハリに通いながら考えて、それを新規事業にできればと。 建築みたいな業界ってイメージ的には大手のゼネコンだったり、○○建設だったりが大きな力があると思われがちなんですが、実は9割くらいの小さな事業所が支えている業界なんです。売上で言うと2-3億未満の会社はたくさんあるんですが、そこが規模を大きくすれば20-30億に簡単になって維持できるのか、といったらそうではなく、違ったアプローチが必要になってくる業界ですね。

デジハリでは、1年目は基本的に座学が中心でやりました。コンピュータのそもそもの仕組みであったりとか、広告業界のマーケティングの手法だったりとか最新のトレンドを実務経験のある教員に教えてもらえるのでありがたいです。2年目に入ってくると基本的にアウトプットなので、人によってやってることは違ってくるかと思います。

前に進めるために何かの形が必要

ーーー 今回プロトタイピング道場に応募したきっかけなどはありますか?

私自身がコードを書けるわけではないので、ソフトウェアに関しては前に勧めていくには何かしらの形を作らなければな、と考えていました。その時にちょうどお話をいただいたのでやってみようかなという感じで。実際にこうやって形になってアウトプットされてくると、やってよかったなと思いますね。

実際にこうして形にするのと、パワーポイント持っていって説明するのとでは全然違うんですよね。特に今回に関して私は社内の新規事業として考えているので、降りてくる予算も変わってくるだろうな、という印象です。 パソコンの中のスライドだけ見せて「よしやってみろ」っていうのはなかなか難しいですよね(笑)。雰囲気としては最初にアイデアを持ってきた人が、外部の手を借りながらプロジェクトを進めていって、ある程度の成果が出始めたタイミングで他の人をアサインしてという感じになるのかなと。

プロトタイピング道場は一気に形をつくるところまで、流れで分かるというのが良かったです。私のように社内の新規事業として立ち上げたいという人にとっても、形ができるだけで稟議が通りやすいし、その後の外部の人とのやり取りだったり、フローだったりも学べるので、その後やりやすくなるかなと思います。

建築現場の「モノ探し」をサポートするプラットフォーム

ーーー プロトタイピング道場で実際に作ったプロダクトについて教えてください

企画のスタートは、建築現場のモノづくりに携わる人をサポートできるようなツール、デバイスを作りたいというところでした。そのような方々って現場レベルだと結構時間に追われていたり、イレギュラーなモノ探しに翻弄されることが多いんです。リフォームをしてお客さんに見せてみたら、「このフックをもう1つ付けて欲しい」みたいな感じで。

全く情報が無いケースもあるんですよ。「こういう感じのこういう形のやつ」くらいの情報量で発注されて、いざ納品してみたらイメージと全く違うみたいなことが結構な頻度で起きていて、非常に勿体無いなと。建設業界自体に人が減ってきているので上手いこと生産性を向上していかないといけない、っていうのは全体としての課題なので。

同時にハードウェアの開発もしています。建築の現場でそのハードウェアを使って寸法だったり、イメージの画像だったりを取り込んでソフトウェア側で発注してもらうようなイメージでしょうか。今、機能設計をしていて、いろいろ試行錯誤を繰り返しながら開発を進めています。

発注、納品のキモになってくる資材に関してはまだまだ可能性があると思っています。以前中国で勤務していたときは、現場でイレギュラーが発生した時にわざわざ市場まで買いに行っていたんですよ。これは時間的にも人員的にもコストがかかりすぎていると思うので、ここを解決できるようなプロダクトにできればと。

クラウドファンディングを利用することも考えています。たぶん建築現場の人が一度は「こういうのがあったらいいのにな」と考えたことのあるプロダクトなのではないかと思います。広く知ってもらいたいですし、困っている人たちに届けたいという思いがあるので、届けるための有効な手段はどんどん活用していきたいですね。

繰り返しで構築されていく開発のリズム

ーーー 今回プロトタイピング道場に参加してみていかがでしたか?

かなり凝縮されていた印象で、全体の流れを掴むという意味ではとても良かったと思います。大学院の講義だともう少し概念的な話が多いんですよね、「最近こんなサービス出ていて、将来的にどういう風になっていくだろうね、グループワークしよう」みたいな感じですかね。もちろん細かい部分の授業もあるんですけど、それだけではやっぱり痒いところに手が届かなくて。 開発のひとつひとつ技術的な部分や考え方というのはもちろん大切な部分だとは思うんですが、繰り返しで構築されているリズムを掴んでいかないと全体を把握できないんですよね。ハードウェアにしろ、ソフトウェアにしろ、そこは同じ性質を持っているのかなと。

時間の制約があったので、若干ショートだったという印象はあります。そこはこれにかかりっきりになれないので難しいところなんですけどね。時間の制約さえなければ朝までぶっ通しでやりたいくらいでした(笑)

プロトタイプがあると無いとでは大きく違ってくるプロダクトだと思っていて、そこにおいてプロトタイプが出来てくると自分の中でも、それを紹介するひとも考え方がまた違ってきますよね。今回であれば、確かにハードウェアはポイントとして作っておきたいし、興味関心の対象になるかもしれないけど、ソフトウェアでスモールスタートする、みたいなことも考えていかなければいけないのかなとか。

ユーザーや現場環境をハッピーにしたい

ーーー これからの展望を教えてください

とりあえず年明けて2月に修了課題があるので、そこに向けて調整をしつつハードウェアの開発、ソフトウェアの調整、ヒアリングのあたりを進めていきたいなと思っています。そこが1つの区切りになって、本格実装の一歩手前くらいでクラウドファンディングに持っていくという流れでしょうか。そこからは何かしらの結果やフィードバックを受けて、更に次を考えていきたいですね。

私の目標としてあるのは、ユーザーなり現場環境自体がハッピーになることというのが第一にあるので、より良い環境の中で開発を続けていければと思っています。なので、今回は会社から独立してとか、個人で、ということは考えていません。結構時間的に制約もあって、業界的にどうしても2020年は意識する、しなければいけない年ですから、そこまでに現場でこのプロダクトを使ってくれる人が居たら良いなと思います。